愛というもの~哀しみの中で~
私は顔を上げて真さんを見ると、真さんも真っ直ぐに私を見下ろし、顔を近づけてきた。
あっと思った時には遅くて、唇と唇が触れる。
慌てて真さんを押しのけるけど、力のない私はそんなに押しのけることができなかった…。

「なんで?なんでキスするの?」

「したかったからじゃダメ?正直自分でも戸惑ってるんだ。弟の、大吾の奥さんなのにって。きっとあいつが生きてたらこんな感情は湧かなかったと思う。でもあいつは死んだんだ。茉莉さんのそばにいて大吾が茉莉さんに夢中になったのがわかる気がする。好き、茉莉さん、もう一度していい?」

私はそんな告白をされて高鳴ってはいけないのに胸が高鳴るのを感じていた。

「ダメ、私は大吾としかキスしたくないもん。」

「うん、そうだよね、でもごめんね、もう一回」

そう言って真さんは強引に私にキスをする。
口では拒絶したけど、体は真さんのキスを受け入れていた。
真さんの服を掴んで離れようとしないのがわかったのか真さんの腕の力が強くなり、体を引き寄せられると舌が私の口内に入り込んできた。
ごめんね、大吾…
私は涙を流しながら真さんのキスに応える。
そして、キスの仕方や味が違うことに大吾ではないと思い知らされる。

ようやく顔が離されると、また力強く抱きしめられた。

「好きだよ。誰が何と言おうと、この気持ちは本当だ。」

私は何て答えていいかわからず真さんの背中に手を回しただけだった。
< 291 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop