愛というもの~哀しみの中で~
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それからの生活の中で真さんは遠慮する事がなくなり、大吾が戻ってきたような感じだった。
ふと、私自身大吾を求めているのか真さんを求めているのかわからなくなるときがある。
恭吾も最近では以前のように元気いっぱいに戻り、私をわざと困らせるようなことをしなくなった。

真さんが昼間に仕事に行っている時に私が真さんの部屋の片づけをしているけれど、ほとんどうちにいる時間が長いので借りている意味があるのかなという感じだった。
それはたぶん、私が真さんに抱きしめられると眠れると言ったからだ。

でも一緒に住んでいるようだけれど一緒に住んでいるわけではないと自分自身に言い訳ができてどこか安心している部分でもある。

とにかく真さんは私にも恭吾にも優しくて甘かった。
大吾は恭吾が悪いことをすると怒ることがあったけれど真さんは怒らずに言い聞かせるタイプみたいだ。
大吾と真さん…似ているようで違うところもところどころあって、当たり前な事なのにそれを見つけてなぜだか安心する。
私はずるい。口ではやっぱり『大吾じゃないと嫌』と言い、でも手は真さんを掴んで離さない。
真さんは『それでいいんだよ。』って言ってくれるけどいいはずがないのもわかってる。
いつかこの手を離さないといけないとわかってるけど、離すのが怖くて、独りになるのが怖い。
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