愛というもの~哀しみの中で~
少しずつ生活が落ち着いてきた。
転園したては二人ともバスに乗れることを喜んで幼稚園に通っていたけどやはり幼稚園と保育園では生活リズムが違って戸惑うことも沢山あった。
お昼寝がないのもその一つで、一時期二人とも幼稚園に行きたくいって朝ぐずるときもあったけど子供の適応能力はすごくてあっという間に慣れたようだった。
そんなときも、恭吾ひとりではなくて由彰くんが一緒だから早くに馴染めたと思う。

私と真さんは喧嘩をすることなく、基本的に恭吾のことでも私が決めたことに口を出してくることはなかった。
そして、幼稚園の行事などは必ず一緒に参加してくれて恭吾の成長を一緒に見守ってくれていた。

ただ、私と真さんの間には体の関係はなかった。
求められている感じもしない。ただ、キスをしたり抱きしめられたりは毎日のようにしていて真さんから大切にされていることは感じていた。
私自身も私たちの関係が特殊だからこそ、そういうものなのだろうと気にしてはいなかった。
逆にもし体の関係を求められたらと心配したことはあった。
大吾とはきちんとできていたが、大吾以外の人ときちんとできる自信がなかったから。
不思議と真さんや昌くんから抱きしめられることに恐怖心を感じることはなかったけど知らない男性と不意に距離が近かったりするとやはり恐怖心に似た嫌悪感を感じていた。
< 309 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop