愛というもの~哀しみの中で~
「若くても恭吾たちの相手をして運転もじゃ疲れるよ。本当にありがとう。フフッ、若くないって…そういえば真さんっていくつ?大吾が29だったから…」

「ハハッ、そういえば35だよ。」

「えっ?35…そっか、大吾より6才離れてるってお義母さん言ってたもんな…」

「おじさんだからがっかり?大吾と離れてるからなぁ。」

私は首を横に振った。

「大人だなぁって思ってて、でも当たり前なんだよね。大人だもん。」

「ハハッ、大人かぁ。中身はそんな事ないよ。こうやって茉莉さんに甘えてるし。」

そう言って更に力強く抱きつかれた。
私はわざと恭吾にするように背中をさすった。
たまに大吾にもこうやって背中さすったなぁって思い出す。

「フフッ、大吾もね、たまにこうやってくっついてきてたの。最近ね、よく思い出す。前までは思い出さないようにしてて…思い出すって過去のことだから…」

「うん、そうだな。でも大吾は思い出してやらないといじけそうだ。」

真さんは顔を上げて笑った。

『俺のことたまには思い出して、別の誰かと幸せになってほしい。』

『忘れてほしくないけどもし俺が死んでしまったらそれでも茉莉には幸せでいてほしいんだ。そのくらい愛してる。』

思い出してやらないと大吾はいじける……そうだよね。
最近また泣き虫になったみたいだ。気づくと目から涙が流れ出ていた。
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