愛というもの~哀しみの中で~
違うのに…大吾とあの男は違うのに…
でももう私の頭の中はあの日のことでいっぱいだった。
体の震えが止まらず目からは涙が溢れて止まらなかった。
大吾はふとそんな私の状況に気づいたのか慌てて体を離した。

「ご、ごめん…。調子にのった。大丈夫、何もしない。もう触らないから安心して。」

私はその場に座り込む。涙が止まらない。あの男の顔が頭から離れない。
大吾と幸せになりたいのに…大吾のことは好きなのに…

「悪かった…。俺帰るから、今日はゆっくり休んで。」

大吾は私と少し距離を置いたところにしゃがみこんでそう言うと立ち上がって帰ろうとした。
このまま帰ると大吾は傷ついたままだ。
私は震えがおさまってないけど咄嗟に大吾の洋服の裾を掴んだ。

「ごめんなさい、大吾はあの男とは違うのに…ごめんなさい。」

大吾はまたその場にしゃがみこんで私の顔を見た。

「茉莉、そうだよ。俺の顔見て。俺だよ。アイツじゃない。だから茉莉の嫌なことはしない。ちょっと強引だったのは謝る。前言ったけど拒否られる覚悟はしてるんだ。だから俺は大丈夫。」
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