愛というもの~哀しみの中で~
5
その後休みはなく、あいた時間や帰り道に一緒に過ごす程度でなかなか大吾とはゆっくり過ごすことはなかった。
あの日からやっぱり大吾は遠慮して家に上がる事はなかった。
それでも相変わらず優しくて話は面白くて一緒にいて楽しかった。
ただ、私はキスもほとんどしない関係に焦っていた。もちろん私が悪いんだけど…
大吾は背も高くて格好いいし、優しいし、話は面白いし…私じゃなくてもきっとモテるに違いない…
キスも、それ以上もすんなりできる人がいるはず…だからいつ心変わりするか…
十分幸せをもらったはずだけど、今までの思い出だけで満足だって思っていたのに…
私はもっと、もっと、って欲張りになっていっていた。
本当は体の関係も…怖いけどなんとかって思うけど、やっぱり怖かった。

夏休みももうすぐ終わる頃、焦ってた私は夜家まで送ってくれ、帰ろうとした大吾の後ろから抱きついて引き止めた。
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