再びあなたを愛することが許されるのなら

「あのう達哉さん、台所使ってもいい?」
「台所……」
「うん、餃子焼きたいの」
「それじゃ、これ使ってください」
台所のハンガーにかけてあるフライパンをⅠHコンロの上に置いた。
「ありがとう。達哉さんお腹空いていると思うんだけど、もう少し待ってくださいね。あと、ご飯とお味噌汁も持ってきましたから」
「え、そんなに。重かったでしょ」
「ううん、大丈夫。だって……た、達哉さんに食べてもらえるんだもの」
「はいはい、もう二人の世界つくちゃって。あ、そうだ。ねぇ、亜崎君ビールとか飲まない? 私近くのコンビニで買ってくるから」
冷蔵子を開けてみたが、ビールの一缶もこの冷蔵庫には入っていない。
「それなら僕が買ってきますよ」
「いいからいいから。邪魔者は少しの間退散してきますんで」
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