幼なじみの不器用な愛情
華が目を覚ますと疲れた顔の隆弘が自分を見つめていた。
「・・・どうだ?」
「・・・うん。大丈夫。」
「そっか。」
「ごめんね・・・。」
華が申し訳なさそうに隆弘を見る。
「いや。」
ふたりの間にぎこちない時間が流れた。
「・・・ばれちゃったね・・・」
華が話始める。
「どういうことなんだ?」
「・・・私ね、引っ越すの。この家に住む人が決まったら。」
「?」
「本当は今すぐにでも出ていかないといけないんだけど、どうしてもここから離れられなくて・・・」
「なんで言わなかった?」
「・・・言えないよ・・・」
「なんで?」
隆弘が華を見る。そんなの聞かなくたってわかってる。華は言わなかったんじゃなくて言えなかったんだ・・・。
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