幼なじみの不器用な愛情
「俺と華の間には見えない壁が常にあって、その壁を取っ払いたいって思ってた。壁は一方的に華が守っていて。結局壊せないままだったな。俺。」
高橋は再びバスケのコートを見た。
「好きだったんだ。俺。華のこと好きだった。」
「あぁ。」
「だからこそ独占したかった。華の心が欲しかったんだ。」
「・・・」
「でも、いつも華の心は俺じゃないどこかにあって、俺の手には入らなかった・・・。」
隆弘もバスケのコートをみる。
「華は誰かに自分の居場所を求めてる。だから俺とも付き合ったんだと思う。でも華の居場所はもう決まってんだ。」
高橋はそう言ってた隆弘を見た。
「華も、お前もなんなんだよ・・・」
「・・・」

華は高橋には家のことも話してはいなかったらしい。隆弘から華の居場所を聞かれたとき、ただ家にいないだけかと思っていた高橋は驚いていた。
「でもこの前一緒に大学に行ったときに進路指導室で話してる内容聞いちゃったんだ。」
「進路指導室?」
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