幼なじみの不器用な愛情
第十一章~真実に向き合う勇気~
二人で暮らす部屋は引っ越しを徐々に行えるようにと7月から借りる契約をしていた。
「華、これは?ここか?」
「うん。あ、待って下にこれ敷いて」
「了解」
休みの合う日には二人で引っ越しの準備をした。

『ガシャンッ!』
「華?」
隆弘が大きな物音がして華の方を見ると華が床に蹲っていた。
「どうした?」
もっていた段ボールを床に置いて隆弘がすぐに華の体を抱き起す。
真っ青な顔で華は意識がもうろうとしていた。
「ごめ・・」
「貧血か?」
「たぶん・・・」
隆弘が華をひとまず買ったばかりのベッドの上に運ぶ。
まだ寝具は出していないため自分の着ていたシャツを一枚脱いで華の頭の下に敷いた。

電気と水道はまだ開通していないため部屋の中は暑かった。
< 242 / 305 >

この作品をシェア

pagetop