幼なじみの不器用な愛情
華のまだ平らなお腹に手をあてながら隆弘は言葉を続ける。
「ちゃんと幸せだなって実感させてやりたい。健康に生まれてほしい。男の子でも女の子でもいいから元気で優しい子だったらいい。でも優しすぎて我慢ばかりしないように、少しはわがままもいってほしい。パパって呼んでほしい。・・・次々に想いばっかりあふれてさ。」
華の瞳からはまだ涙があふれ続けている。こんなに思われてこの子は幸せだ。
「なのに今は俺は何もしてやれない。無事にこの世に生み出すまでは華しかこの子を守れない。」
隆弘が真剣な目で華を見つめる。
「華ばっかり、もう母親としての責任を背負ってんだよな。」
「・・・私ちゃんとお母さんになれる?」
泣きながら華の言った言葉に隆弘は微笑む。
「もう華はお母さんだよ。華がお母さんになるんじゃなくて、この子が華をお母さんに選んだんだ。俺をお父さんに選んでくれたんだよ。」
華は自分のお腹に手をあてた。
「大丈夫だって言っただろ?二人でこの子のお父さんお母さんとして、してやりたいことがたくさんあるだろ?」
華の心の中にも、赤ちゃんが無事に産まれたらしてあげたいことがたくさんある。
「女の子なら一緒にお菓子作りして・・・大きくなったら隆弘に内緒で彼氏の話する。」
「おいおい。」
「男の子なら一緒にスーパーに買い物に行って、買い物かごを持ってもらったり、高いところのものを取ってもらう。」
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