幼なじみの不器用な愛情
華が寄り道してから家に帰ると玄関に隆弘が立っていた。
明らかにその姿が怒っている。

華を見つけると隆弘は腕くみしたまま華の方をじっと見ていた。

「ごめんなさい・・・。」
とりあえず謝る華。
「何が?」
隆弘は低い声で華に言う。
「あの子と二人にして・・・。大変だった?」
「違うだろ。」
「え?」
華は隆弘の顔を見つめる。
「危ないだろ?だから一緒に帰ろうって言ったのに。なんかあったらどうすんだ。」
「・・・ごめんなさい。」
華は心で思う・・・。私だって一緒に帰りたかった。二人で帰りたかった。
「夜中に酔っぱらってる女子が一人で帰るもんじゃない。気をつけろよ。そういうとこ」
「はい。」
しょんぼりとする華の頭を隆弘が撫でた。
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