幼なじみの不器用な愛情
~♪

「はい」
華が携帯の着信に出るとそれは親戚のおばさんだった。
『華ちゃん?熊谷のおばさんだけど』
「お久しぶりです。」
そのおばと話をするのは祖母の葬式以来だった。
『元気?』
「はい。元気です。」
『さっそくなんだけどね。おばあちゃんが残した家のことなんだけど』
「・・・はい。」
『前にも言ったけど、家のローンがなくても光熱費とか税金とか学費とか何かと大変でしょ?その家を売ってアパートでも借りるといいと思うのよ。管理が大変でしょ?』
「・・・そんなことはありません。学費ももう納入していますし、税の分はバイトして支払っていますから。」
『でも、これからいろいろとお金が必要でしょ?その時に邪魔になると思うのね?おばさん、いい仲介業者知ってるから、一度どのくらいの価値か査定してもらうのはどうかしら?』
こうして華に言い寄る親戚は多い。
まだ祖母が亡くなった時、華は未成年だった。
それから財産分与が始まり、祖母が遺言で残してくれた華の財産が分与されたのは華が20歳になってからだった。それまで親戚同士でかなりもめた。祖父は資産家で遺産も多かった。
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