幼なじみの不器用な愛情
「これ、ありがとうね。」
華は隆弘の家の玄関で隆弘に借りていたジャージの長袖と上着を渡した。
「おう。」
「これ、クッキーやいたから、おばさんにもよろしく伝えて?」
カレーの入っていた鍋と、かわいらしく包装してあるクッキーを隆弘に渡すと
「じゃあね」と華は隆弘に手を振った。

「華」
「ん?」
隆弘に呼ばれて振り向くと隆弘は何かを言いたそうだった。
「なに?」
「なんかあったか?」
「ん?」
隆弘は昔から華に何かがあるとすぐに気が付く。
「何もないよ。」
「そっか。」
でもそれ以上のことはいつも何も聞かない。
「これ、サンキュ。」
隆弘は華の渡したクッキーの袋をあげた。
「どういたしまして。」
< 46 / 305 >

この作品をシェア

pagetop