幼なじみの不器用な愛情
「じゃあ、ここだから」
華は自宅まで合コンで知り合った男に送ってもらった。
「へぇ～実家暮らしなんだ。」
「うん。」
華は一人で暮らしていることを誰にも言っていない。両親が亡くなっていることも大学では隆弘くらいしか知らない。だからこそ、華を家まで送る人は両親が家にいるだろうと勘違いする。
「じゃあ、送ってくれてありがとう。」
男に華が手を振ると男が華の体をグイっと抱き寄せた。
「俺たち付き合わない？きっと楽しいと思うよ？」
「・・・考えてみる。」
華は顔をそむける。
「絶対に寂しい思いはさせない。」
「・・・絶対に・・・？」
「あぁ。寂しい思いはさせないよ？」
「・・・そっか。じゃあ、連絡するね。おやすみなさい。」
華が抵抗して体をそらすと男はふっと笑い体を離した。
「俺はジェントルメンですからこれ以上は無理強いしないよ。じゃあお休み。」
男はそう言って去って行った。
男を見送るとその先にコンビニの袋を下げた隆弘が立っていた。
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