幼なじみの不器用な愛情
隆弘は華と男を目撃した直後、本当は開けていたバイトのシフトを入れた。
大学の授業が終わり隆弘がバイト先へ向かうと店長とバイトが数名話をしていた。
「おはようございます」
「おう。伊崎。」
店長が隆弘のもとへ来る。
「お前、大学で華ちゃんみたか?」
「今日は見てません。何でですか?」
このカフェの店長はイケメンで有名だ。40歳前の中肉中背。あごひげがかなり似合う。コーヒー豆を探して世界各国飛び回るほどのこだわりも持っている。華のことを昔からかわいいかわいいとかわいがっている。隆弘とは弟のように接してくれていた。
「華ちゃんと連絡とれないんだよ。今日、急遽バイトに入れるって言ってくれて4時からくる予定なんだけど連絡もなくて。」
隆弘がふと時計を見るとすでに5時近かった。
「時間を勘違いすることなんて華ちゃんないだろ?いつもバイトのシフト手帳に書き込んでたしさ。」
隆弘は自分の誕生日に華がバイトを入れたことに、あの男とうまくいかなかったな・・・と悟った。
「先輩、昨日具合悪そうでしたからね。変な咳してたし。」
後輩のバイトの言葉に隆弘はバイト先を飛び出した。
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