幼なじみの不器用な愛情
大学での用がすんで隆弘が帰ろうとすると華が、一人で桜の木の下に立っていた。
もう桜花びらが散って葉桜になっている。

その姿があまりにも寂しそうでつい隆弘は華の方へ足を向けた。

「高橋は?」
隆弘が声をかけると華が振り向く。

「今教室に忘れ物したって取りに行ってる。」
「そっか。」
「うん。」
「うまくいってんのか?」
「うん。」
会話がぎこちなくてうまく続かない。
「教員採用試験、うけるんでしょ?」
「あぁ。」
「がんばってね。」
「ん。」
「応援してる。」
「さんきゅ。」
華は隆弘の目を見ようとしない。隆弘も華を直視できず桜の木を見た。
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