幼なじみの不器用な愛情
「華」
「ん?」
「・・・」
隆弘は本当に言いたい言葉を飲み込んだ。
「なに?」
「いや。何でもない。じゃあな。」
「うん。じゃあね」
隆弘は華に背を向けて歩き出した。途中で華のもとへ走って戻っている高橋とすれ違った。

華は隆弘の後ろ姿をずっと目で追っていて、その隣を駆け寄ってくる高橋に直前まで気づかなかった。

願書の提出まで隆弘はバイトを入れてはいなかった。


華とほとんど会わないまま熱い夏が来た。
< 94 / 305 >

この作品をシェア

pagetop