いつも、ずっと。
「とりあえず座れよ、瀬名。勝手なことしてすみません先輩。でも俺も瀬名から話しば聞いて、二人が会って話した方がよかやろうと思ったけん。誤解したままずっといがみ合うなんて、つまらんでしょ?まずは黙って瀬名の話ば聞いてみてください。な、瀬名」



俺と先輩が向き合って座っていたから、瀬名は俺の隣の席についた。

本当は俺だって瀬名に聞きたいことがある。

しかし今は瀬名が昔の因縁に決着をつけようとしているのだから、邪魔したりせず成り行きを見守るしかない。



「てっちゃんは俺が唯子に横恋慕して、てっちゃんから略奪したって思っとるやろ」



「実際、そうじゃねーのか?俺はお前のことば部活の後輩である前に親友って思っとったとに。まさか大事な親友から裏切られる羽目になるとはな」



おいおい先輩。

俺の話聞いてなかったのか。

とりあえず"黙って"瀬名の話を聞けというのに。



「俺はてっちゃんのこと裏切ったつもりはなか。それだけは自信持って言える。俺にとってもてっちゃんは大事な親友やったし、信頼しとったけん。でもその親友に隠し事しとったとは悪かったと思う。それは本当にごめん」



「……隠し事?」



「実は唯子が中学に入学してすぐの頃から、俺たち付き合いよった」



田代先輩はもうさっきみたいな無表情ではなかった。

瀬名から真実を知らされて、困惑と驚愕が入り混じったような表情でじっと何かを考えている。



「唯ちゃんが中学入ってすぐって事は、テニス部のマネージャーになる前からってこと?」



「俺と唯子はずっと昔からの知り合いって言うか、幼馴染みやったけん。お互いの親同士が友達で、しょっちゅう会って一緒に遊んだりしよったっさ。いつの間にか俺は唯子の事ば好きになっとった。てっちゃんが早う彼女作りたかって言いよったと知っとったし、俺だけ先に彼女出来たなんて抜け駆けしたみたいで言えんかった。そいに元々は唯子が付き合いよること誰にも内緒にしようって言うたし。でもてっちゃんに嘘ついとった事には変わりなかけん、裏切ったと思われたとしても仕方なかとかもな。みんなには内緒にしとってでも、てっちゃんにだけは本当の事ば言うべきやったって後悔しとる。ごめん……てっちゃん」



「なあ圭司、聞いてもよかか?俺が告った時、唯ちゃんはなんで断らんかったとか?お前と付き合っとるとならなんで……」




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