いつも、ずっと。
それは俺も気になった。

瀬名と付き合っているんだったら断るだろ普通。

相手が先輩だったから断りにくかったのか。



「唯子は俺と付き合ってはいたけど、てっちゃんがテニスしよるとば見て『カッコいい』って密かに憧れとったらしか。だけんテニス部のマネージャーばしたかって言い出したとも、本当はもっと近くでてっちゃんがテニスするところば見たかったんじゃなかかな。そがん憧れば抱いとる田代先輩から告白されて、断るなんてことできんかったってさ……。唯子は本当は俺のこと、振るつもりやったとかも。だけん俺たちも結局上手くいかんごとなってしもうたとやろうな」



田代先輩が思っていたのとはまったく違ったんだろう。

ずいぶん時が経ってしまったけど、こうして瀬名から

本当のことを聞くことができて良かったんじゃないか?



「逆だったんだな。俺はてっきり、唯ちゃんは圭司から言い寄られて心移りしたとやろうと思っとった。二人に裏切られたって思うてショックの大きかった。圭司のこともあの日以来信じられんごとなって、事実ば確かめようともせんで逃げた。話ば聞こうともせんで一方的にお前だけ悪者にして、ごめんな……圭司」



田代先輩との長年のわだかまりが溶けて安心できたのか、瀬名は安堵のため息をついた。



「ああよかった。俺、これでもかなり緊張してビビっとった。ここで失敗したらもう二度と和解なんてできんやろうし。御子柴、今回はマジで世話んなった。ありがとう」



瀬名から礼を言われるなんて。

なんか、調子狂うよな。



「あれ?そういえばお前らなんで連絡取り合ったりとか……。いつの間に友達になったとか。俺に断りもなしに」



「なんば言いよっとですか。コイツは友達じゃなくて、明日美のただの同僚。まあ明日美は俺と瀬名が連絡取り合いよるとは知らんけど」



そうさ、明日美は田代先輩と瀬名の昔の因縁については何も知らない。

それは最初に瀬名が俺にコンタクトを取ってきたのは中学時代の部活の先輩を介してだったから。

そんなに面倒なやり方しなくても、明日美に頼めば簡単に俺と接触できたはずなんだ。

そうしなかったということは、明日美に知られたくなかったからじゃないか。



いや、正確には知られない方がいいだろうと判断したと言うべきか。

明日美と田代先輩の関係まで考慮してくれたんだろうというのは考えすぎか?




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