目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
まさに白昼夢から抜け出して来たような私は、一瞬これが現実かどうかを疑った。
やがて周りの喧騒が戻って来て、景色が動き出すと、意識もハッキリとしてくる。

「……蓮司さん」

「うん?どうした?」

私、今、過去のあなたを見た。
きっとあれは実際に見た過去の映像よ。
確かにあなたは私と出会っていた。
父と他の沢山の誰かと一緒に私の家に来ていたよね?
そう言おうと思っていたのに、出てきた言葉は全くの別物だった。

「そのスイカは甘くない!ちゃんと選んでっ!!」

「ええっ!そうなのか!?こんなに美味しそうなのに!?」

「まず模様!緑と黒がハッキリ綺麗な模様になっているやつ!」

私は、蓮司さんの持つスイカを奪い取りもとの場所に返すと、他を物色し始めた。

「これとか……これとか、これ」

と、適当に三個ほど選ぶ。

「更に!音!軽く叩いてみるね?」

ぽんぽん。ぼんぼん。ぼんぼん。

「うん。これとこれ」

三個の中から二つ選ぶと、唖然とした蓮司さんを振り返る。
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