目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「さぁ、どっちが美味しいと思う?」

両手を広げて問いかけると、唖然としていた彼が突然前のめりになる。
そして、スイカを穴が開くくらい見つめ始めた。

「どっちだろう……どっちも美味しそうだけど。何が、何かが違うんだろう?重さ?いや、艶?……わからない!」

蓮司さんは悔しそうに項垂れた。
それに気を良くした私は、勝ち誇ったように捲し立てる。

「ツルとお尻を見ましょう!ツルが緑でその回りがへこんでいる、周囲が盛り上がっているものは甘いです。そして、お尻のオヘソ?それが大きいものほど完熟しています!つまり、食べ頃ですよ?」

ちょっと力説しすぎたかもしれない。
周りのお客さんも、あまりの威勢の良さに何事かと寄ってきてしまった。
これでは、スイカの販売促進イベント……。
私……とんでもないことをしてしまったのでは……。

「ねーちゃん、これはどう?」

戦々恐々としていた私に、後ろから声がかかった。
振り返ると、地元の人らしいお爺さんが、スイカを抱えて微笑んでいる。

「えっ、えーと。これ?ですか?」

「うん。これ、美味しい?」

お爺さんの持っていたスイカは、模様も綺麗だし、ヘタも緑で瑞々しい。
ただ、オヘソが小さい。
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