目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
福富御膳の姿作りは、それはもう見事なものだった。
全長25センチほどの新鮮な鯛が、その体に菊の花を散らして自己主張している。
後は、お吸い物、炊き込みご飯等々、御膳定番の物が添えられている。
うん、添えられているが正しいな。
メインはどう考えても鯛だから。
福富御膳が運ばれてから、百合の目は真ん丸になっている。
見たことないわけではないだろうが、その鯛の迫力に目が離せないようだった。

「どうぞ。食べて?」

と、醤油の小皿を百合へと渡す。

「あ、ありがとうございます。でも、一色さんが先に食べて下さい」

「そんなに気を使わなくてもいいのに。じゃあ、先に頂くよ」

「はい」
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