目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「福富御膳ですか。わぁ、姿作りもありますね?」

「え?」

百合の指差したメニューには、ドカンと丸ごと一ぴきデカい鯛の写真が写っている。
姿作り……いや、いけるだろうが今日は料理メインじゃない。

「私は……この、おうどんといなり寿司のセットにします」

百合はリーズナブルな女性用のセットを指差した。
うどんといなり寿司……。
そんないかにも、喉を通りやすいメニュー、無理して食べますって言ってるようなものじゃないか!?

「そう?じゃあ、俺の姿作り、少し手伝ってよ?」

「……て、手伝う?」

百合は首を傾げる。

「少し食べて?」

何としても栄養のあるものを百合に食べさせないといけない。
福富御膳の姿作りが、なんとか役に立ちそうだ。
俺はメニューの鯛を人差し指でつついて見せた。

「そんな、一色さんの分なのに……」

「いいよ。余しちゃうの勿体ないだろ?」

余らせるなら頼むなよと、言わないでくれ!
と、俺は密かに懇願する。

「……ええと。じゃあ、少しだけ貰ってもいいですか?ちょっと、気になっていたんです」

恥ずかしそうに頬を染める百合を見て、心の中で俺はガッツポーズを取った。
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