目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「え?そうなんですか?」

幸いにも百合は、そう尋ねてきただけだった。

「あ、ああ。どんな性格かは、昔から知っているし、教授からも聞いたりしていたから……」

そう聞いて百合が微笑んだ。
……嘘は言ってない。
昔から知ってるし、教授の娘自慢も聞いたことがある。
ただ、人を使って調査をしたことが後ろめたいのだ。

「父から?どんなことを?」

「君の手料理で一番美味しいのは、鯖の味噌煮だってこととか、南瓜の煮物の天才だとか」

……どうして料理のことしか言えないんだ?
もっと聞いたはずなのに、出てくるのは料理ネタだけだ。
そんな俺の後悔は、百合の笑い声にかき消された。
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