目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

着替えてから、蓮司さんは私を散歩に連れ出した。
海の近くではあるけど、別荘は山の上ですぐに海岸には出れなくなっている。
そのかわり、きちんと舗装された遊歩道が山頂付近まで伸びていて、絶景スポットになっているんだとか。
もちろん、一般の人などは入って来ず、専ら別荘の持ち主がウォーキングやトレーニング等で来ることが多い。
そんなマイナスイオン満載のひんやりとした森の中を、彼に手を引かれながら、散策しているのである。

「空気が美味しい」

私の正直な感想に、蓮司さんが頷いた。

「ああ。いつも空気の悪い所で働いているからな。生き返るようだよ」

「お仕事、大変だよね。ごめんね、私の為に休ませちゃって……こんな変なことになっちゃうし……」

「平気だ。むしろ楽しんでるよ。それに変なことじゃなくて、君は大変な目にあったんだから！何も気にしなくていいんだよ」