目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「褒められているのか貶されているのか良くわからないけど、まぁいいや」

「そうだな。お前とお喋りに来たんじゃないからな」

「ひでぇな……あ、額はこっちで選んでいいのか?」

柾さんは突然話題を変えた。
アーティストって……一般人には計りかねる感性を持っているの?
いや、そう言ったらアーティストの皆さんに失礼だわ。
これは、柾さん限定かもしれない!と心の中で訂正した。

「……おう、額は任せる。とてもいい仕上がりになってるよ。百合も教授を思い出したしな」

突然振り向き蓮司さんが言う。
慌てるあまり、激しく首を縦に2回振るのを見て彼は口を押さえた。
……笑いたければ笑えばいいよ!
この顔、おかしいんでしょ!?
例のごとく、私の頬は膨れた。
もうフグのように。
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