目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「ぶっ……じゃあ頼むよ。額を選んで近い内に別荘の方に届けてくれ」

「う、うん……わかった。百合さんがフグみたいになってるが、いいのか?」

柾さん?ここはスルーしないの?
スルーしてよっ、 もう!

「いいんだよ。可愛いだろ?」

「……知らんがな」

柾さんは盛大に呆れ、私は頬を膨らませたまま赤くなった。
一人だけご機嫌な蓮司さんは、膨れた頬を楽しそうにつつきだし、口から出る音漏れに更に目を細めた。
一体何がしたいのよ……。
優しいと思えば、少し意地悪になる、そんな夫に翻弄される私は、あろうことか……とても幸せを感じている。
だけど、幸せを感じれば感じるほど、全てを思い出した時、どう変わってしまうのだろうと、不安になる自分もいた。
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