目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

それから２年が経ち、父が経営を退くことになった。
俺は社長に就任し、その頃から、笙子の態度が一変した。
もう既に未来の社長夫人としての地位を確かなものにしていた彼女は、まだ専務秘書であった。
だが、社長就任を切っ掛けに「社長秘書」になりたいと言ってきたのだ。
俺は、あまり懐に入って来られるのを好まない。
笙子を秘書にすると、全てを管理したがるだろう。
それは絶対に嫌だ。

結局、社長秘書は常務の秘書で勤続年数が一番長いベテラン、三国日菜子に任せることになった。
彼女を選んだのは、笙子を唯一押さえられる人物だったからである。
そうして笙子は専務秘書に止まり、常務秘書は新しく採用することでなんとか纏まった。