目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「良く続いていますね?」

ホテルでの会合から帰るタクシーの中で、三国さんが切り出した。

「何が?」

仕事の話しかしない彼女が、プライベートで俺に話しかけることはあまりない。
だから、何の話かさっぱりわからなかった。

「相島笙子。もう、2年が来ますか?」

「あ、ああ。そうだな……珍しいな、三国さんがそんな話……」

まさか、その話だとは。
意外すぎて一瞬言葉につまった。

「そうですか?……まぁ、そうかもれませんね。私もこんな話は本来どうでもいいんですけど」

じゃあ、なんで話した?
とは言えない雰囲気だ。
何故なら、三国さんの目は全く笑っていなかったからだ。
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