目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「お待たせしました。目玉焼き、黄身にうっすらと白い膜がかかるくらい……でございます!」

と、畏まっていいながら、目玉焼きの載った白い皿を置く。
見ると、湯気の出る目玉焼きは注文通り。
黄身にうっすらと白い膜があり、つつくとぷるぷると震えている。
すごい、完璧だわ。
昨日の料理も美味しかったし、蓮司さん、何でも出来るのかもしれない。
と思い、尊敬の眼差しを向けた。
それを見て、にっこり笑った彼は、またキッチンに入るとサラダ、オレンジジュース、温めたパンを銀のトレイに載せて持ってきた。

「はい。どうぞ」

そう言うと目の前の椅子に腰かける。

「ありがとう。もう、何から何まで……今日から私も何かするからね!」

「とんでもない。百合は動いちゃダメだ」

「……え。いや……何で?」

動いちゃダメだって……それ、無理ですが。
いくら、入院してたからってこうもじっとしてたら体がおかしくなる。
きっと、私、働いてるのが通常仕様の女だったんだと思うよ、覚えてないけど。
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