目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
俺の声が明るくなったのに気づき、三国さんがこちらを見た。
笙子の件でどん底のような気分を味わっていた中に、一筋の光明を見た感じだ。
八神教授がどうしたのだろう?
ああ!きっと、久しぶりに皆で集まろうって腹か?
俺の声は更に弾んだ。

「わかったぞ?さては教授、俺達に会いたくなったんだろうな?手のかかる子供だの、うるさい奴らだの言っていたが、やっぱり寂しくなったんだろう?仕方ないな、一度皆で集まって……」

「亡くなったそうだ」

二宮は俺の話が終わるのを待たずに言った。

「……………は?」

「……2年ほど前から心臓を患っていて、ずっと入院してたらしい。入院先にオレの知り合いの薬剤師がいて教えてくれたんだ」

「え、待て。教授が……死んだ?」

自分で言っても、その言葉には現実味がなかった。
死んだ?教授が?
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