綴る本
突然の乱入者とその声の発生源にユラとルージュはそちらに顔を向けた。
顔立ちが少し似ている二人の女の人は、ユラに詰め寄るように近づいてくる。
片方は煌めくブロンド髪の女性、もう片方はまだ大人の女性と呼ぶには幼さが顔立ちから垣間見える優しい桜色の少女である。
「ユラ……久しぶりね。まさかここで逢えるとは思ってなかったわ」
感極まったように、矢継ぎ早にブロンド髪の女性――レイミィーがユラの手を握った。熱を帯びた瞳がユラを捉えて離さない。
美麗な女性に手を握らているユラは、あからさまに顔を歪めた。心底嫌そうに、露骨に顔に表す辺り、相手にどう思われようが構わないらしいことがユラの性格の一端だろう。
「レイミィーか……取り敢えず放せ」
「嫌って言ったら?」
茶目っ気たっぷりの発言に、ユラは空いている方の手の平をレイミィーにかざした。自然と目が細められる。
「わかったわよ」
レイミィーは乾いた笑みを零しながら渋々名残惜しそうに握っていた手を離した。
「あの、レイミィーさん、帰ってきたのですね。それに、どうしてこちらにいるのですか?」
「ええ、それはユマ――」
後ろに居るであろうユマリスに振り返りながら言うが――
「――リスはどうやらいないようね」
――居ないことに気付き苛立しげに頬を引き吊らせた。
逃げたことは一目瞭然であり、この救護室まで面白がって導いた本人が何を思って行動していたのかは、本人しか知り得ない事である。
「ユマリスの事は追々言及するとして、ルージュ」
「え? あ、はい」
「あなたまさかとは思うけど……」
寝ている身体を上半身起き上がらせて、ルージュが何処か恥ずかしそうに勢いよく手をブンブン振った。その行動が更に自身を不利な状況へと追い詰めていることにルージュは気付かない。
「やっぱりそうなのね……」
ルージュの態度にレイミィーは、胸中のあやふやで朧気な推測が確信に変わった。
やや頬に赤みがあるのを目ざとく、フミールが見つける。
「ルージュ、顔が赤いけど熱があって救護室にいるの?」
「えっ、ええ、まあそういう所です」
不意を衝かれた言葉にルージュが吃りつつ、視線を彷徨わせながら答えた。
フミールの隣でレイミィーは肩を落といてた。瞳は心配と呆れが半々に妹を捉えている。
顔立ちが少し似ている二人の女の人は、ユラに詰め寄るように近づいてくる。
片方は煌めくブロンド髪の女性、もう片方はまだ大人の女性と呼ぶには幼さが顔立ちから垣間見える優しい桜色の少女である。
「ユラ……久しぶりね。まさかここで逢えるとは思ってなかったわ」
感極まったように、矢継ぎ早にブロンド髪の女性――レイミィーがユラの手を握った。熱を帯びた瞳がユラを捉えて離さない。
美麗な女性に手を握らているユラは、あからさまに顔を歪めた。心底嫌そうに、露骨に顔に表す辺り、相手にどう思われようが構わないらしいことがユラの性格の一端だろう。
「レイミィーか……取り敢えず放せ」
「嫌って言ったら?」
茶目っ気たっぷりの発言に、ユラは空いている方の手の平をレイミィーにかざした。自然と目が細められる。
「わかったわよ」
レイミィーは乾いた笑みを零しながら渋々名残惜しそうに握っていた手を離した。
「あの、レイミィーさん、帰ってきたのですね。それに、どうしてこちらにいるのですか?」
「ええ、それはユマ――」
後ろに居るであろうユマリスに振り返りながら言うが――
「――リスはどうやらいないようね」
――居ないことに気付き苛立しげに頬を引き吊らせた。
逃げたことは一目瞭然であり、この救護室まで面白がって導いた本人が何を思って行動していたのかは、本人しか知り得ない事である。
「ユマリスの事は追々言及するとして、ルージュ」
「え? あ、はい」
「あなたまさかとは思うけど……」
寝ている身体を上半身起き上がらせて、ルージュが何処か恥ずかしそうに勢いよく手をブンブン振った。その行動が更に自身を不利な状況へと追い詰めていることにルージュは気付かない。
「やっぱりそうなのね……」
ルージュの態度にレイミィーは、胸中のあやふやで朧気な推測が確信に変わった。
やや頬に赤みがあるのを目ざとく、フミールが見つける。
「ルージュ、顔が赤いけど熱があって救護室にいるの?」
「えっ、ええ、まあそういう所です」
不意を衝かれた言葉にルージュが吃りつつ、視線を彷徨わせながら答えた。
フミールの隣でレイミィーは肩を落といてた。瞳は心配と呆れが半々に妹を捉えている。