綴る本
「確かに、最低ランクの魔法をと頼んだけど……でも、これはないんじゃないかしら……。身体全体じゃなく、足なり胸なりの一部を普通なら狙わないかしら? しかも、ランゴの実まで破裂されちゃったわよ……」
 悪怯れた様子は一切見せず、フミールはにっこりと微笑んでいた。
「よかったじゃない。ランゴの実を破裂させるには雷系統の魔法が有効だとわかったんだしね」
「ああ、本当に頭痛がしそう」
 レイミィーが頭をうなだれるようにして、肩を落とした。黄金色の綺麗な髪が肩に流れ落ちる。
「とにかく、またランゴの実を付けてくるから待ってて頂戴」
 疲れたような溜め息を零しながらレイミィーは訓練所から出ていった。
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