氷点下できみを焦がしたい
「永遠くんだって、こんなに忙しいのに私にわざわざノート作ってくれた!」
ムキになってそう言い返せば、
「だからお前のためじゃないって」
また素直じゃない言葉が返ってくる。
私のためじゃないって言うなら、私の前回のテストで間違えたところの復習とか、私の苦手なところばっかりまとめてあったのは何だって言うんだろう。
「とにかく、私だって迷惑かけてるから看病するの!
永遠くんのこと甘やかす権利があるの!」
永遠くんは、いつもそうやって自分のことを後回しにする。
人に迷惑かけられるのは許すくせに、人に迷惑をかけるのは許さない。
それってどうしてなんだろう。
むっとして永遠くんを睨み付けると、諦めたようにため息をつかれた。
「……わかったよ、勝手にしろ」
諦めたように折れた永遠くんに続いて、家に入る。
「永遠くんは早く着替えて寝て!」
「シャワー浴びる」
「……じゃあその間にごはん作っておくから。
お風呂場で倒れちゃだめだよ!」
そう言ってお風呂場に向かう永遠くんを見送れば、永遠くんがくくっと可笑しそうに笑う。
「お前は母親かよ」