氷点下できみを焦がしたい
「や、やっと着いた……」
私より背の高い永遠くんを支えながら歩くのはなかなか大変で、相変わらず豪邸みたいな家を見ながらほっと息を吐いた。いつ見てもすごい家。
「ごめん、ありがとう」
永遠くんはそう言ってドアを開けて、中に入る。
「……永遠くん、今日は家に1人?」
「そうだけど」
「じゃあ看病させて」
「いや、いいって」
ただでさえ遅くまで残ってもらったんだから、早く帰れ。
そう言う永遠くんを無視して、体を支えながら家に入る。
「だって1人だったら絶対また無理するもん。
私にもちょっとは頼ってよ!」
「嫌だ」
即答する永遠くんに、ちょっとだけショックを受ける。
そんなにすぐに、嫌だって言わなくても……。
「な、なんで……?」
「……だって生徒会まで手伝わせた上に看病もさせるとか、すげえ迷惑かけてるし」
熱のせいなのか、いつもより永遠くんが素直な気がして。
少し弱った姿に、思わず抱きしめたくなってしまった。