氷点下できみを焦がしたい
「……そうか、そんなふうに思ってたのか」
お父さんは永遠くんの部屋に入って、小さく寝息を立てている永遠くんの寝顔を見つめる。
「……妻を亡くしてから、永遠には寂しい思いをさせたと思う。もともと仕事ばかりしていたから、突然2人きりになってどう接していいかわからなくなってしまってね」
ぽつり、ぽつりとお父さんは話し始めた。
私はそれを黙って聞く。
「忙しいのを言い訳にして、構ってやれなかったな。
永遠には苦労して欲しくなくて、勉強も学校生活も頑張れと言いすぎたかもしれない。
……本当は、元気で笑っていてくれたらそれでよかったんだけど」
そう話すお父さんの横顔は、永遠くんと同じ表情だった。
寂しそうで、それから、愛おしそうで。
きっとお父さんも永遠くんのことが大好きで、永遠くんだってお父さんのことが大好きで。
ただふたりとも、言葉が足りないだけで。