身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
抱きしめられる腕が、なぜか居心地が悪くなって、私は距離を取ろうと悠人さんの胸を押した。

こんな偽りばかりの私が、このまま一緒にいることなど許されるのだろうか?
悠人さんが自分の弱い所もさらけだしてくれているのに、私は騙していていいの?

「いなくならないよな?」
しかし、そんな私を放さないと言わんばかりに、悠人さんは抱きしめる力を強めて私を見つめる。

そんな真剣な瞳に、私は言葉を発することが出来ず、背中に冷たい汗が流れ落ちる。

「私は……」

言うなら今しかないと、頭の中では解っている。
嘘つきと罵られ、放り出されても仕方のないことをしたのは私だ。
今までいくらでも言うタイミングは会ったのに、それを避けてきたのは私なのだから。

「なに?」

少し不安に揺れる悠人さんの瞳に、更に不安げな自分が移る。

「私は悠人さんといる資格がありません」

それだけを言って、私は悠人さんと距離をとって起き上がった。
「彩?」
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