身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
あまりにもらしくない、言葉を発する悠人さんに私は問いかけた。

「俺のおふくろも……帰ったらいなかった」
「え?」

その衝撃的な言葉に、私は悠人さんを見上げた。
腕で隠されていて表情は解らなかったが、あきらかに動揺している悠人さんに、私は何も言えず言葉を待つ。

「まだ小さいとき、おふくろも帰ったらいなかった。その時を思い出す。だから……」
ようやく悠人さんの言葉の意味が解り、私はギュッと抱きついた。

「ごめんなさい! 嫌なことを思いださせて」

「俺こそごめん……」
ようやく冷静さを取り戻したかの、いつも通りの悠人さんの言葉にホッとする。

「これ以上大切な人がいなくなるのは耐えられない。いなくならないで」
懇願するように言われ私だったが、素直に頷くことができずにいた。

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