身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
終業時間が終わり、今なら薫子もつかまるだろう。
そう思い俺は専務室を出ると、秘書課へとむかった。

「専務!」
滅多に表さない俺の姿に、秘書室長をはじめその場にいた薫子以外が立ち上がった。

「どうされたんですか?」
何事かと思ったのだろう、慌てた秘書室長の声に俺は静かに声を発した。

「なんでもない。仕事を続けてくれ」
俺のその言葉にバラバラと腰を下ろす社員たちを見ながら、俺はゆっくりと声を発した。

「更科さん、少し来てください」

内線で呼び出すことも考えたが、薫子の事だ。
また何を言うかわからない。そんな不安から自ら足を運んだことが裏目に出たのかもしれない。

『やっぱり?』
『結婚が近いって噂』

そんなことを思っているのだろう。色めく視線に、俺はうんざりしながらも薫子をジッと見据えた。
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