身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
しかし何度か話をしようとしても、いつもうまく言えずにいた。
私は大きなため息をつくと、頭を抱えるしかなかった。

時間も遅くなってきて、酔いも回ってきたため私と明日香は店の外へ出た。
夜になって更に下がった気温に、吐く息も白い。しかし、酔って火照った身体にひんやりとして気持ちよかった。
「じゃあ、礼華。がんばってとしか言えないけど」
明日香の言葉に、私は小さく頷いた。
「ありがとう。また話を聞いてね」
私は明日香に手を振ると、金曜日の込み合った駅へと向かった。
ぼんやりと外を見ながら、どうしてこんなことになってしまったのかわからず、ただ憂鬱な気持ちが侵食していく。

家に帰ると悠人さんの靴がすでにあり、私はドキッとした。
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