身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
私の看病をしている場合でもないし、移すわけにもいかない。
それに……。
何より私が悠人さんと一緒にいることが苦しかった。優しさを感じれば感じるほど、騙している自分が嫌になる。

簡単に荷物を詰めて、悠人さんの手紙の下に追加で、移したくないので実家に帰る旨を簡潔に書いた。
もっと何か伝えるべきことがある気もするが、何を書くべきかわからなかった。
今、この働かない頭で何か考えることは無理だった。

ぼんやりとしつつ、マンションをでて何とか実家への電車に乗りこむ。
なんとか実家へと帰ってこれてホッとする。
「礼華!どうしたの」
平日の昼間に帰ってきた娘に驚いたお母さんが、私の顔を見てため息をつく。
「風邪ひいてるのね?」
「うん」
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