見ツケテ…
☆☆☆

それから数日後、俺はまた友江の家に来ていた。


人目につきにくいから別にかまわないのだけれど、自分から何度も女の家に出向くというのはプライドが許さなかった。


俺に会いたいのなら、お前から来るべきだ。


そんな古臭い感情が湧き上がって来る。


今日は文句の1つでも言ってやろうと思っていたのだが……。


「私、妊娠したみたいなの」


食後、友江が頬を赤らめてそう言って来たのだ。


「え?」


一瞬、俺の時間が停止した。


危うく持っていたコーヒーカップを落としそうにもなった。


「この前来てくれた時に言うつもりだったんだけど、時間がなかったでしょう?」


友江はそう言い、小首を傾げて見せた。


赤らんでいる頬を見ると、友江は妊娠したことを本気で喜んでいるようだった。


子供が欲しかったのか、あるいは、子供ができたことで俺と結婚できると思っていたのかわからないが、とにかく幸福に満ちた表情をしている。
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