見ツケテ…
☆☆☆

それから数日たっても、美奈は発見されなかった。


1度池の水をすべて抜いて確認してみたが、それでも美奈はいなかった。


捜索隊が言っていた通り、美奈は自力で脱出したんだろうか。


でも、それならなぜあたし達の前に出てきてくれないんだろう?


疑問と不安が付きまとう。


「今日も美奈の声が聞こえて来たよ」


A組の教室内、登校してきた知樹へ向けてあたしは言った。


「俺もだ」


知樹も表情はとても暗い。


美奈がいなくなってから、あたしたちには時々美奈の声が聞こえてくるようになっていた。


『助けて!』


確かにそう言っているのだけれど、どこを探しても美奈の姿を見つめることはできなかった。


自分たちの幻聴だと次第に理解してきていたけれど、それでも声が聞こえてくると探さずにはいられなかった。
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