見ツケテ…
「直弘は、今日も貯水池へ行くの?」


青ざめた顔でジッと黙り込み、椅子に座っていた直弘にそう声をかけた。


「あぁ、もちろん」


直弘はあたしたちが話しかけるとようやく返事をする程度の反応しか、示さなくなっていた。


美奈がいなくなって、クラス全体が沈み込んでいるような気がした。


「じゃあ、今日も一緒に行くよ」


「俺も。どうせ部活もないしな」


館下先生が顧問をしていたサッカー部は、新しい顧問が見つかるまでの間停止されることになった。


本気でサッカーをしていた部員たちからすればいい迷惑だったけれど、館下先生が起こした事件は全国的に報道され、大問題になっていたのだ。


部員たちに罪はないのにサッカーを取り上げられる形になってしまっていた。


だけど、知樹からすれば今はサッカーよりも美奈の方が心配らしかった。


「早く戻って来てよ、美奈……」


あたしは誰もいない美奈の机を見て、そう呟いたのだった。
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