愛され秘書の結婚事情

 悠臣はタブレットを手に取り、「うん。あ!」と声を上げた。

「今日の夜は、時間空いてるかな」

「はい。本日午後六時以降は、特に予定はございません」

「そっかー。良かった」

 悠臣はニコニコと機嫌の良い笑顔で、「じゃあ佐々田さんは何か予定ある?」と言った。

「私も特に予定はございません」

「そうかー。じゃあ今夜は、僕に食事をご馳走させてくれない?」

「え? それはどういった理由で……」

「うん。一週間早いけど、誕生日のお祝いってことで」

「えっ……」

 意外な申し出に、七緒はめずらしく動揺した。
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