愛され秘書の結婚事情

「今日のご気分はいかがですか」

「ああ、すこぶる良いよ。昨日は早く寝たしね」

「それは良うございました」

 これが毎朝の、二人の定番のやり取りだった。

 滅多に風邪を引かない体調を崩すこともない七緒に対し、悠臣は日によって体調に波があり、彼はそれを正直に秘書に申告する。

 そして七緒の方も、彼の体調如何では予定を削ったり休憩時間を多めに取ったりと配慮する。

「それではさっそく、今日一日のご予定についてですが……」

 常務室に入るなり、七緒は手にしたファイルから自分専用のタブレットを差し出した。
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