愛され秘書の結婚事情

「それでええと……差し支えなければ、理由を聞かせてもらえるかな」

「え……」

 彼女と電話で繋がったまま、彼は今の正直な気持ちを伝えた。

「だって信じられないから。一体どういう心境の変化で、プロポーズを受ける気になったの」

「それは……」

 七緒は一瞬ためらった後に、「正直、不謹慎過ぎる話なのですが……」と言葉を紡いだ。

「今朝の事故のせいです」

「え?」

「沢山の怪我人が出た事故なのに、それを理由にするなんて、桐矢さんにも事故に遭われた方にも失礼極まりないんですが……」

 自分を恥じるように、七緒は硬い声で言った。
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