愛され秘書の結婚事情

「どうしよう。言わせておいて何だけど、メチャメチャ嬉しい」

「嬉しいんですか」

 七緒も表情も緩め、クスクス笑った。

「嬉しいよ。当たり前でしょ」

 そう言って、彼は彼女の頬に触れた。

「あなたにこうやって触れる権利を得て、今僕が、どれほど浮かれているかわかる?」

 七緒は頬に手を添えられたまま、ニッコリと笑った。

「その顔を見ていたら、わかります」

「そう。じゃあもう一度、目を閉じて」

 言われるがまま、彼女は目を閉じた。

 彼はそっと腰を上げ、目を閉じた彼女の唇に口づけた。

 唇と唇が重なった瞬間、二人は自然と微笑んでいた。

 今この瞬間、二人の心は確かに繋がっていた。

 触れた唇から温かな感情が流れ込んで来て、春色の光が互いの心を満たしてくれた。
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