愛され秘書の結婚事情

「…………」

 寝室に立ち尽くし、七緒はじっと考えた。

 そして一旦閉じたメール画面を開き、央基への返事を打った。

『悠臣さんには話したよ。でも私は、彼と別れるつもりはないから』

 送信をタップしてすぐ、いきなり電話が掛かってきて、七緒はびっくりしながらそれを受けた。

「お前、正気かよ!」

 開口一番、央基が電話口で怒鳴る。

 電話機から少し耳を離し、七緒は「正気だけど」と答えた。

「ていうか、もう少し悩めよ! なに昨日の今日で答えを出してんだよっ!」

「一晩考えた末の結論だし、一年悩んでも答えは変わらないと思う」

「そんなに悠臣って男がいいのかよ! そいつはそんなにイイ男だってのかよ!」

「そうだよ。少なくとも私にとっては、世界一イイ男だもん」

「ふざけんなっ!」

「ふざけてないよ。真面目に答えてる」

 予想通りの反応に呆れながら、七緒は「とにかく」と言った。

「あんたと結婚は出来ないから。もう電話もしてこないで」

「なっ……、おい七緒……!」

 まだ向こうが何か言いかけた途中だったが、七緒は強引に通話を終了させた。
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